「決められたルールの中で競い合う・・・」
これはスポーツの世界でも、ビジネスの世界でも、最も重視されるべき前提の一つでしょう。
もし、勝利や利潤のためなら何をやってもいいということになったら、
社会も試合も無秩序な状態に陥るでしょう。
メニュー偽装、粉飾決済、架空取引など消費者を馬鹿にしたような企業や、
利益追求のためにブラック企業化していく会社など、
コンプライアンスを守らない組織はこれからの社会では生き残れません。
話は部活、子どものスポーツに戻ります。
私の育った茅野市玉川は昔からスピードスケートと野球が盛んな地域です。
ひとつの小学校の中に野球のチームが6~8チームくらいあって、
その中だけで大会が成り立つほどです。
さらに最近ではリトルリーグの数も増えて、
高校以降の硬式野球を意識した取組も盛んです。
大人の野球熱も高く、公民館対抗の野球大会や、
早起き野球も盛んな地域です。
ところが・・・
これだけ裾野が広く、環境に恵まれているのですが、
この地域からプロ野球選手が出たという話を聞いたことがありません。
それどころか、甲子園で活躍した選手も聞いたことがありません。
ちなみに、競技人口や競技の特性もあるので単純な比較をするつもりはありませんが、
スピードスケートでは、私の知っているだけでも、
私の母校の中学校から2人、近隣の中学から1人の
オリンピック選手が輩出しています。
(たぶん、本当はもっといるはずです。)
スケートの宿命でもあって、活動は冬季に限られます。
結果として、夏季は陸上部やバスケ部など他のスポーツをしていました。
(しかも好成績を残していました。)
始める時期の早さや練習量だけを重視した育成では、
必ずしもいい結果に結びつかないのではないでしょうか。
これはスポーツだけではないかもしれません。
さて、シリーズのまとめに入りたいと思います。
今回のシリーズを書いた私なりの思いは
文武両道という学習塾的な立場からの指摘としてだけではなく、
本当にこの地域のスポーツ文化が豊かになり、
できれば何パーセントかは優秀なアスリートも輩出できるような、
そんな環境を子どもたちに作って頂きたいという思いです。
さらに言えば、勝利至上主義からルールを破ったり、
怪我や病気の子どもたちを酷使したり、
部活の抜け道として社会体育を悪用したり・・・
全ての指導者とは言いませんが、
もし、そんなやり方を選んだことがある指導者がいるならば、
ぜひ、信頼している子供たちのためにも慎んでもらいたいと願っています。
スポーツマンシップを重視し、コンプライアンスを重視する、
そんな子供たちが増えていくようなスポーツ文化を期待します。